遺産分割協議における遺産の評価方法:「非上場株式」について
1 はじめに


『遺産分割協議』の進める中で、たとえば亡くなられた方が会社を経営しておられ、その会社の株式(株式上場していない場合)「非上場株式」があるとします。
非上場株式について『遺産分割協議』の中でその株式評価が問題となることもあります。
そこで今回は、遺産分割協議での「非上場株式」の評価についてご紹介させていただきます。
2 「相続税法上の評価」について
⑴ 「非上場株式」を相続したとき、相続財産の価額によっては相続税の申告も必要となります(申告が必要かどうかの判断をする際にも評価が必要となります。)。
⑵ 「非上場株式」の相続税法上の評価は、「財産評価基本通達」によって算定します。
「非上場株式」は、「取引相場のない株式(No.4638)」に該当し、株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ[原則的評価方式]または[特例的な評価方式である配当還元方式]により評価します。
⑶ 用語は難しいのですが、多くの場合、法人税の申告を依頼している税理士等に相続税法上の評価の算定を依頼することも多いようです。
3 「相続税法上以外の評価(方式)」について
⑴ 遺産分割協議において、「非上場株式」の評価が必要となるとき、「相続税法上の算定方式」は、比較的よく使われる方法とはいえます。
それは、相続税の申告で使われているため、相続人同士が共通的な評価として認識しやすい面があるからだと思います。
さらに、後述しますが他の算定方法を採用する場合、方法によっては評価をするための公認会計士等の専門職への費用が大きくかかることが背景事情としてあります。
⑵ 「相続税法上の算定方式」に納得がいかない場合、この方式に応じる必要はありません。以下の①②の資産法、専門職へ株価の算定を依頼することが評価方針としてあげられます。
① 簿価純資産法
② 公認会計士等の専門家に株価を算定依頼
⑶ ① 簿価純資産法
簿価純資産法は、会社の直近の貸借対照表から、会社の純資産額を導き出し、総株式数から1株の株価を導き出します。
② 公認会計士等の専門家に株価を算定依頼
● 収益に着目したアプローチ(DCF法など)
● 純資産に着目したアプローチ(時価純資産法など)
(その他にマーケットデータに着目したアプローチもあります。)
参考 「企業価値評価ガイドライン」(日本公認会計士協会)
⑷ 家庭裁判所での遺産分割調停・遺産分割審判では、相続人間で「非上場株式」の評価方法について合意ができない場合、公認会計士等の鑑定(相応の費用がかかります。)が実施されることがあります。
また、会社が大きな価値のある不動産を所有している場合、不動産鑑定士による評価が必要となることもあります(不動産鑑定士の鑑定費用が相応にかかります。)。
その場合には、不動産鑑定士と公認会計士等の鑑定費用それぞれがかかることになり、それなりの費用負担が必要となります。
4 さいごに
遺産分割協議において、相続財産の評価は頻繁に問題となります。
「非上場株式」の評価は「不動産」の評価とともに相続人の取得額に大きな影響を与えることが多いため重要な事項の一つです。
そのため、相続案件にも慣れた弁護士にご相談をされることをオススメいたします。
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