「相続分の譲渡」について
1 はじめに


遺産分割調停の相手方となったとき、家庭裁判所から送られくる封書の中に、「相続分の放棄」「相続分の譲渡」についての書面も含まれていることがあります。
今回は、間違いやすい「相続分の譲渡」について説明をさせていただきます。
2 「相続分の譲渡」とは
「相続分の譲渡」とは、ある相続人が遺産全体における自分の持分を他人に譲渡することになります。
民法905条が、遺産分割前の相続分の譲渡ができる根拠と解されています。
● 「相続分の譲渡」は、他の相続人に対しても、第三者に対しても可能です。
● 相続分を譲渡された譲受人は、遺産分割手続きに関与できます。
● 譲受人は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債)も譲り受けます。
ただ、相続分を譲渡した相続人は、対外的には負債の返済義務を免れるものではありません。債権者との関係では債務引受(譲受人が債務を引き受けることを債権者も認めるか)の問題となります。
3 「相続分の譲渡」と不動産の登記手続き
「相続分の譲渡」を受けた場合、相続分を譲り受けた共同相続人は、遺産分割未了の場合は、自己の相続分に加え譲り受けた相続分の割合を合算した割合の共有持分について登記することができます。
また、相続分の譲受後、他の共同相続人と遺産分割協議を成立させた場合、当該遺産分割協議に基づき所有権移転登記をすることができます。
不動産に関しては、相続分譲渡証書(自書・実印押印)と印鑑証明書がそろっていれば問題なく登記をすることができます。
<① 共同相続人間に「相続分の譲渡」をした場合>
相続分を譲り受けた共同相続人は、遺産分割未了の場合は、自己の相続分に加え譲り受けた相続分の割合を合算した割合の共有持分について登記することができます。
(昭和59年10月15日付け民三第5195号民事局第三課長回答)
<② 相続人以外の第三者へ「相続分の譲渡」をした場合>
「相続分の譲渡」による所有権移転の登記をする前提として、まずは共同相続の登記をすることになります。その後、譲り受けた人への所有権移転の登記がなされることになります。
4 「相続分の譲渡」と預貯金の払戻し手続き
以前、預貯金は法定相続分に応じて、各相続人が各人の相続分を払い戻すことが可能でした。
現在、預貯金は相続財産に該当し、金融機関から預貯金を払い戻すためには、裁判所での手続きを通さない場合、基本的に共同相続人全員の署名と実印による捺印、印鑑登録証明書が必要となります。
そのため、「相続分の譲渡」を理由として相続分を譲り受けた共同相続人が預金の支払いを求めるには、共同相続人全員の同意に基づいた書面、実印での捺印、印鑑登録証明書の提出を求められます。
なお筆者の経験上、「相続分の譲渡」を受けていても、その他の相続人との間で遺産分割協議がまとまらなかった場合、その後に遺産分割調停を申し立てると、家庭裁判所は相続分の譲渡をしている相続人に対して、再度確認のために「相続分の譲渡」の確認を行う傾向があります。
5 さいごに
実務上、「相続分の譲渡」はよく行われています。
また、「相続分の譲渡」を有効活用することで遺産分割をスムーズに終わらせることもあります。
こうした案件でお困りであれば、相続案件にも慣れた弁護士にご相談だけでもご検討されることをオススメいたします。
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