被相続人が所有する不動産に無償で居住・利用していた相続人について『特別受益』が認められるかについて
1 はじめに


相続(遺産分割、遺言など)についてご相談を受ける際、『特別受益』についてはよく問題となります。
今回は、「亡くなった方が所有する不動産に無償で居住・利用していた相続人について、『特別受益』が認められるかどうか。」をご紹介をさせていただきます。
2 検討するケースについて
今回取り上げさせていただくケースでは、兄妹が3人いたとします。
兄妹(ABC)のうち、(B)1人だけが①父の所有する不動産に長年無償で住んでいた場合、他の2人(AC)の兄妹としては、長年に渡りBが家賃も支払わず住むことができたのだから、家賃相当は利益だとして『特別受益』に該当すると主張されることがあります。
こうした他の兄妹ACからの『特別受益』に当たるとする主張は認められるのでしょうか?
② 次に、父の所有する建物に父と同居しないでBが無償で住んでいた場合はどうでしょうか?
③ 最後に、父の所有する土地をBが無償で借り、「建物を建てる」、「駐車場として利用する」場合はどうでしょうか?
(※ なお、いずれのケースも、Bは父(や母)から生活費は援助されていないとします。)
3 ①亡くなった親と相続人が同居していた場合
亡くなった方と同居していた相続人Bについては、当該建物を自己居住用に所有・占有していた被相続人の「占有補助者」に過ぎず、遺産の前渡しと見るべき利益の移転(使用貸借の設定)や遺産の減少が生じていないとして、『特別受益』にならないとされています。
4 ②亡くなった親と相続人が同居していない場合
Bは父と同居せず建物を使用しています。
Bには父とは独立して建物を占有していることになります。
⑴ こうした場合、(片岡武/管野眞一編著)「第4版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」261頁によると、以下の理由から、建物の無償使用の特別受益性については、
『特別受益に当たらない』との考え方が示されています。
ア 建物の使用貸借は、恩恵的な要素が強いこと、遺産の前渡しという性格が薄い。
イ 建物の使用貸借は、土地利用の場合と比較して明け渡しが容易であり、経済的価値はないに等しい。
ウ 賃料相当額を合計すると相当多額となり、遺産の総額と比べても過大となること。
エ 被相続人が相続人に対して建物の無償使用を許諾している場合、収益物件であるか否かを問わず、情誼に基づくものといえるから持ち戻すことを予定していないのが通常と考えられること。
⑵ 一方で、事案の性質によれば、賃料相当額という形ではなく、『特別受益』が認められる可能性がなくはないです。
その場合でも、被相続人(父)による「持ち戻し免除の意思表示」があったか否かを検討することになります。
5 ③土地を無償で借りていた場合
⑴ 父の名義の土地を無償で借りてBが家を建てていた場合、その土地には、使用貸借の負担が付いている土地になります。
そうなると、Bが使用している土地は、B名義の建物付き土地のため売却が困難であり、更地よりも評価が下がります。
そこで、建物があることで土地の評価が下がっている分を考慮し、『特別受益』に該当すると考えられています。
この場合でも、賃料相当額が『特別受益』として考えられるのではなく、使用されていることによる土地の減価分を特別受益として考えます。
なお、その場合でも持戻し免除の意思表示を検討することになります。
⑵ では、父の名義の土地を駐車場としてBが借りていた場合はどうでしょうか。
駐車場として利用されている場合、建物が建っているのとは異なり、明け渡しも容易です。そのため、土地が利用されていることの減価分については特に考慮することがないので、上記⑴の考え方に基づけば原則として『特別受益』にあたらないと考えられます。
6 さいごに
『特別受益』につきましては、今後も回を分けてご説明をさせていただきます。
今回のご説明させていただきましたが、どういった場合が『特別受益』に該当するのかは確定的でないこともあります(事案によるといえます。)。
「このケースは『特別受益』にあたるのかな?」とのご疑問がある方は、是非相続に詳しい弁護士にご相談下さい。
また、「遺言書作成」にあたり、『特別受益』や『遺留分』に配慮した遺言書を作っておくことが、“争続”を防ぐことにもつながります。
「遺言書作成」についても相続に詳しい弁護士にご相談をされることをオススメいたします。
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