空き家問題の対策(弁護士ができること)
1 はじめに(空き家問題)


2023年の調査によると、空き家については、空き家数は900万戸と過去最多となり、2018年から空き家数も51万戸の増加、空き家率も13.8%と過去最高となっています(総務省調査)。
総務省の5年ごとの調査のたびに空き家数は過去最高となっており、管理が行き届いていない空き家は今後も増えていくことが予想されます。
私自身、広島県三次市、現在の広島市安佐北区での弁護士業務でも、空き家問題にはよく直面をしてきました。
特に多かったのが、遺産分割協議の際、実家の家・田畑・山林は受け取りたくないが、現金・預貯金だけは欲しいというものです。
『空き家問題』についてどういった対策があるのか、弁護士をどのようにお役立ていただくか、ご紹介をさせていただきます。
2 空き家問題の対策(弁護士としてできること)
弁護士は、法律事務全般に関する代理権を有しており、不動産に関しても専門的知見に基づいて「アドバイス」や「問題解決」のアプローチをすることができます。
⑴ 不動産の処分・活用に対するアドバイス
弁護士の業務において、破産管財人、不在者財産管理人、後見などで不動産を売却することが業務としてあります。
不動産に関わる法律的な知識だけでなく、知見・ノウハウに基づいて『空き家問題』解決のアドバイスをさせていただいております。
【ⅰ 不動産を売却したい】
① 市場性が高い不動産:不動産仲介業者に依頼すればほぼ売れます。
② 市場性が不明な不動産:不動産仲介業者へのアプローチの方法を工夫して取り組んでみる等対策が求められます。
③ 古い家屋があることで売却が困難になっているのなら、空き家を解体して更地で売却します(更地の方が、価値が高い場合も多いため。)
④ 市場性が見込めない不動産:主に人口過疎地域の不動産等
→ 自治体の「空き家バンク」の利用を検討します。
【ⅱ 被相続人の生前は対象の不動産に住みたいが、死亡後は売却したい。】
① 【ⅰ】の①から④のアプローチを検討します。
② リバースモーゲージを活用してみるなど。
(自宅等を売却するが、生前の一定期間はそのまま自宅に住み、死亡後は不動産の所有会社に任せます。)
【ⅲ 空き家の有効活用】
① 空き家を綺麗にするなどして、賃貸経営を行なってみる。
② 空き家を壊して賃貸経営を行なってみる(賃貸併用住宅も考える)。
賃貸一戸建て、賃貸アパート・マンション、賃貸駐車場、看板設置等
※ ただし、更地のままにすることで固定資産税が高くなることもあります。
⑵ 遺言の作成
遺産をスムーズに承継するために遺言を作成し、遺言の内容自体を工夫することで『空き家問題』の解決につながることもあります。
『空き家』という負のイメージがつきがちな物件も他の遺産を取得する内容とすることで、次世代への引き継ぎが上手くいくこともありました。
⑶ 成年後見等の申立て
認知症などで判断能力が失われた方:「成年後見申立て」や「任意後見契約の補助、任意後見監督人選任申立て」で、不動産売却を行ないます。
不動産の所有者や共有者が所在不明の場合:「不在者財産管理人選任申立て」を行なう。
※ 成年後見人・保佐人への就任、任意後見人の就任、任意後見監督人の就任も弁護士は業務として行ないます。
⑷ 家族信託のコンサルティング、作成補助
判断能力が衰えた場合(一人暮らしができなくなり施設に入った場合など)に備え、不動産の売却権限を「家族信託」の契約によって、他人に与えておくことを行なっておきます。
⑸ 不動産の登記の変更手続きが未了
● 遺産分割未了の不動産もあり、売却が困難となっていることもあります。
そこで、遺産分割について代理人(弁護士のみが代理人)となり、解決を図ります。
● 遺産分割の前提としての相続人調査も弁護士が行ないます。
● 不動産の登記手続きも弁護士は受けることが出来ます。
⑹ 「相続放棄」を家庭裁判所に申し立てる場合の代理人
「実家の家や田畑は、管理ができないので相続放棄をしたい。」とのご相談はよく受けます。
相続放棄により、その相続に関しては相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
「(実家等の)空き家問題」から相続放棄をすることによって離脱することになります。
⑺ 「相続財産清算人の選任申立て」
相続放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、その放棄によって、相続人となる人に対して相続財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をして、財産の管理をしなければならない義務を負います。
お父さんが亡くなり、お父さんの相続開始の時に、お父さん名義の家にお母さんとお子さんが住んでいる場合、お母さんやお子さんは、相続放棄をしたことによって、次の相続人になる方に引き継ぐまでの間、しっかりと不動産の管理をしなければならないわけです。
また、相続財産である不動産(空き家等)が損壊をして、第三者に損害を与えた場合には、この損害を賠償しなければならない可能性もあります。
そこで、相続放棄後の「相続財産管理人選任申立て」をすることで「空き家」の管理義務や処分を「相続財産清算人」に引き継ぎます。
3 さいごに
「空き家問題」については、不動産の所有者の方がご存命中、ご本人がある程度の道筋を立てておくこと、周りの親族が少しずつでもサポートをしてあげることが重要だと思います。
弁護士として、「空き家問題」の解決は、その知見と経験を活かすことができる業務といえます。
少しでもご実家や自宅の「空き家問題」が気になる場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。
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