『相続放棄』をしても退職金を受け取ることができるか
1 はじめに


会社などで働いている方が急に亡くなることがあります。
その亡くなられた方(被相続人)に借金がたくさんある場合、相続放棄をしても勤務先からの退職金を受け取ることはできるのでしょうか?
今回は、いくつかのケースに分けてご紹介をさせていただきます。
2 <被相続人が生前に受け取った退職金や退職後に亡くなった場合>
被相続人が生前に受け取った退職金は、既に被相続人の預金口座などに入金されており、亡くなる前に退職した被相続人の財産になっています。
そのため相続財産となっています。
→ そこで、預金口座に入金されたお金を受け取ることは、一部の限られた例外を除いて、「相続の承認」となり、相続放棄ができなくなります。
※ また、被相続人が退職していますが、退職金を受け取る前に亡くなった場合も、既に退職金を受け取る権利が被相続人のものとなっています。
そのため、退職金を受け取ることは「相続の承認」にあたり、相続放棄ができなくなってしまいます。
3 <被相続人が退職する前に亡くなった場合>
※ 退職金を受け取る権利が、受け取る方(遺族の方)の「固有の財産」かどうかが重要になります。
「固有の財産」かどうかは、退職金規程・規則、法律で、退職金について受け取る方が具体的に定まっているかどうかに左右されます。
受取人の「固有の財産」であれば、相続放棄をしても受け取ることが可能です。
⑴会社員が亡くなった場合
退職金規程や就業規則で(受け取る方について具体的に)支給に関し定められているかどうかで、相続放棄をしても受け取ることができます。
たとえば、次のような規程とします。
「第3条 退職金の支給を受ける者は、本人または遺族とする。
2.前項の遺族は労働基準法施行規則第42条ないし第45条の遺族補償の順位にしたがって支給する」
このように退職金規程に書いてある場合、配偶者が受け取る、配偶者がいない場合には、子、父母・・・と受け取る順番が定まっています。
こうした規程であった場合、相続で受け取るのではなく、受取人の「固有の財産」としていえるので、相続放棄をしても、死亡による退職手当を受け取ることができます。
⑵ 公務員がなくなった場合
【国家公務員】:「国家公務員退職手当法」で支給(第2条の2第1項 退職手当を受け取る遺族)について定まっており、退職手当の受取人の順位が指定されています。
そのため、受取人の「固有の財産」として、相続放棄をしても死亡による退職手当を受け取ることができます。
【地方公務員】:所属自治体の職員退職手当条例の支給の規程を確認することになります。
広島市では、「職員の退職手当に関する条例第2条の2」で退職手当の遺族の受け取る順位が定まっています。
そのため、受取人の「固有の財産」として、相続放棄をしても死亡による退職手当を受け取ることができます。
⑶ 中小企業退職金共済手当
中退共加入者が死亡した場合、中小企業退職金共済法で退職金の支給を受ける遺族の順位が定まっています。
相続放棄をしても、受取人の「固有の財産」として被相続人死亡による中退共の退職金を受け取ることできます。
4 さいごに
『相続放棄』のご相談を受けていると、「これをやってもいいのかどうか」と悩まれご相談にいらっしゃるケースも多いです。
そこで、『相続放棄』のご相談される際には、相続に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
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