『遺産分割協議書』を作成するタイミングはいつか?

文責:弁護士 岡﨑伸哉

作成日:2025年07月30日

1 はじめに

広島法務局
広島法務局

 『遺産分割協議』の進め方についてそれぞれの前提を以前の記事でご紹介をさせていただきました。

<『遺産分割協議』をおこなう前提>

 ① 相続人を確定させる。

 ② 遺産の範囲を確定させる。

 ③ 遺産の評価を行なう。

 ④ 具体的相続分を決める。

 

 今回は、『遺産分割協議』を行なった結果、その内容を明らかにする『遺産分割協議書』(遺産分割協議証明書)の作成をおこなうタイミングについてご紹介いたします。

 ※ 『遺産分割協議書』『遺産分割証明書』の違い

         『遺産分割協議書』:遺産分割の結果である協議書に相続人全員で署名・捺印する。

   『遺産分割協議証明書』:遺産分割の結果である同じ内容の書面それぞれに各相続人1人ずつが署名・捺印する。

 以下で述べさせていただくのは、協議書の作成のタイミングですので、『遺産分割協議書』『遺産分割協議証明書』とで違いはありません。

2 『遺産分割協議書』作成のタイミング

⑴ 『遺産分割協議書』の作成のタイミングは、法律では定められていません。

 

⑵ 『遺産分割協議書』は、相続財産全てをまとめて1つの協議書で作成することが多いです。

  ただし、財産ごとに分けて作成をしても構いません。

  たとえば、司法書士の方に不動産の相続登記を依頼した際、不動産登記移転の便宜上、不動産だけについて『遺産分割協議書』を作成することもあります。

 

⑶ 相続人が了承するならば、遺産分割協議を複数回行なうことも可能です。

  ただし、一度『遺産分割協議書』を作成し承継人が決定した財産について後日新たに内容を変更する(たとえば財産を受け取る人を変更する)『遺産分割協議書』を作成した場合、当初の承継人から変更した承継人への贈与とみなされ、贈与税が発生する税務上のリスクを生じることになるので最新の注意を払う事項といえます。

  ※ 特に、相続財産に関する手続き終了後の承継人変更が要注意です。

  たとえば、金融機関が作成した『遺産分割協議書』にある一人の相続人だけが金融財産を取得するという内容で相続人皆さんが署名捺印をし、後日、相続人間で分けようとすることは比較的ありえることです。

  こうした場合、贈与税の税務リスクが生じるおそれがあります。

  金融機関の提供した書類の一つということで安易に署名・捺印するのではなく、慎重に判断をしていただきますようお願い致します。

⑷ 別途に『遺産分割協議書』を作成するとしたら、たとえば、相続財産の不動産を早急に売る必要がある場合で売買契約を簡潔に済ませたい、納税猶予手続きのために『遺産分割協議書』を提出しなければならない場合などが考えられます。

  このように『遺産分割協議書』作成のタイミングには色々なパターンがあるのですが、手続きの期限が迫っている、手続きの簡略化の必要性などの事情がない限り、遺産分割協議を何度もするのも大変ですので、基本的には全ての財産について協議がついて段階で作成をしたほうがいいと思います。

3 さいごに

 遺産分割協議において、『遺産分割協議書』の作成をするケースは多いといえます。

 『遺産分割協議書』は相続人に重大な影響を与える書面となりますので、速やかに協議を終了させるためにも相続案件にも慣れた弁護士にご相談をされることをオススメいたします。

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