「遺産分割審判」で考慮されること

文責:弁護士 岡﨑伸哉

作成日:2025年04月30日

1 はじめに

  相続が発生した場合、相続人間で協議や遺産分割調停をおこなっても合意ができないことはあります。その場合、「遺産分割審判」にて裁判官が判断をすることになります。

  今回は、「遺産分割審判」における考慮要素をご紹介させていただきます。

2 「遺産分割審判」時の考慮される事情

  遺産の分割時の考慮される事情については、民法906条にて、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と規定されています。

 

  「遺産分割審判」においても、民法906条をもとに裁判官が諸要素を考慮して判断をすることになります。

3 「不動産や事業資産」での民法906条の考慮要素について

⑴ 不動産についての考慮要素

  「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の状況」を総合考量するのが基本です。

   ● 不動産特有の考慮要素としては、土地がどういった地目であるか

   (宅地、農地・・・)

     ● 建物はどういった種類であるか

   (居宅、店舗、共同住宅、事務所、旅館、工場、車庫・・・)

   ● 不動産の利用形態はどのようなものであったか。

   ● 不動産と相続人との関係の関係等。

が考慮要素と考えられています。  

  そのため、相続人が以前から居住している不動産の場合などは、その相続人に不動産を取得させる方向の事情となりえます。

 

⑵ 家業などの事業資産についての考慮要素

  農業資産や中小企業の事業用資産はなるべく相続人間それぞれに現物分割しないのが望ましいと考えられています。

      そのため、各相続人の「職業」が重要視されるようです。

  遺産が、農地、農業用具や事業用資産の場合、その事業を引き継ぐ人に遺産を取得させようという考慮が働きます。

  このように相続人の職業が農業に従事していた場合、農地を引き継ぐ方向になりますし、職業として中小企業の経営を手伝ってきたなどの事情がある場合には、その相続人に事業用資産の取得をさせる方向の考慮事情となりえます。

 

⑶ その他

  「その他一切の事情」としては、「被相続人(と相続人)との同居の有無、被相続人の意思、当該物品に対する相続人の愛着の有無、(中略)、相続開始後や遺産分割前に生じた事情等のほか、遺産の従来の利用関係、相続人の意向、調停・審判の経緯等も含まれる」(本山敦編著「逐条ガイド 相続法 民法882条~1050条」日本加除出版株式会社・123頁から引用)と考えられています。

  

  実務的には、遺産分割審判の中で、まずは対象財産の特定、評価額、その対象財産の取得を希望するかどうか。相続人間で対象財産の取得を希望する人が複数いた場合、上記考慮要素、代償金の支払いができるかどうかを踏まえて裁判官が判断することになると思います。

4 さいごに

 「遺産分割審判」については、それまでの相続人間の協議とは異なり、裁判官が判断を下すものになります。

 そのため、「遺産分割協議」「遺産分割調停」「遺産分割審判」についてご不安を感じられる場合、相続に詳しい弁護士にご相談をされることをオススメいたします。

お役立ち情報
(目次)

受付時間

 
午前 ××
午後 ××

平日:9:00~18:00
定休日:土日祝
※ご予約の上、土日及び営業時間外の対応も承っております。

所在地

〒731-0221
広島県広島市安佐北区
可部3丁目19-19
佐々木ビル(南棟)2階
可部街道沿い、広島市安佐北区総合福祉センター隣、上市バス停すぐそば、サンリブ前、もみじ銀行可部支店前
※ 駐車場は、福祉センター裏手にございます。

0120-979-742

お問合せ・アクセス・地図

PageTop